正雪でなければ
駿河湾の最も奥まった静岡市清水区由比に神沢川酒造場はあります。東海道の古い街並みが残るこの町は、希少性から高級魚としても知られるサクラエビが水揚げされる港町でもあります。町の歴史は古く、延暦16年(797)征夷大将軍に任ぜられた坂上田村麻呂が東征の時この地の神社豊積で必勝祈願と戦勝報告に立ち寄ったことが起源とされるお太鼓祭りが今も行われています。
既存の清酒に満足できなかった当蔵の二代目となる望月由松は、父金蔵を説得し東京滝野川の日本醸造協会で学び、酒造りは水からと、社名ともなった神沢川のほとりで蔵を開きました。酒蔵としては遅いスタートだったこともあって、代々受け継いできたのは酒質の向上です。かつては全国新酒鑑評会をはじめとするコンテストに数多く出品し、またたくさんの賞を頂きました。最近では平成23年と24年の2年連続で静岡県新酒鑑評会で首位県知事賞を頂きました。
蔵元、杜氏、蔵人そして従業員全体の目標は”正雪でなければ”という代替のきかない酒質です。上品な香りに綺麗で丸い、飲み飽きのしない味わいが調和した正雪をこれからも醸していきます。